重畳パススコアマップ

重畳パススコア(Superimposed Path Score)とは

重畳パススコア(ちょうじょう・ぱすすこあ, Superimposed Path Score)とは、タスクグラフを解析する時、各タスクから続く経路に重要度を割り振ることで、通常のクリティカルパスでは1回で見つけることができなかった第2、第3のクリティカルパスをも安定して一度に見つけられる新しい技術のことです。この重畳パススコアタスクグラフに反映したグラフを重畳パススコアマップと言います。

従来、クリティカルパスを使用しながらのタスクの改善では最も時間(あるいは、コストなど)がかかっている経路はどれか?を見つけることで、重点的に管理する経路を特定してきました。このことは逆に言えば、クリティカルパスでは解析時に1本の経路しか見つけられないことを意味しています。重畳パススコアはこの問題に対して、経路における時間(あるいは、コストなど)を加味した重要度を算出していますので、従来のクリティカルパスと比べて、局所的な改善や安定稼働時の時間(あるいは、コストなど)の変動に強く、使いやすくて安定した解析結果を得ることができます。重畳パススコア重畳パススコアマップは株式会社 多様性総合研究所が国際特許を出願し、提唱しているタスクグラフの新しい解析方法です。

キャンプでカレー再び!重畳パススコアマップ登場~

クリティカルパスで手順の改善もでき、ちゃんと1時間で作れたし、川下りもできた。無事に終了したキャンプでしたが、ちょっとヒヤヒヤものだった今回のカレー作り。本当のキャンプならこのくらいの波乱があった方が楽しいですよね(^^;

でも、ボーイスカウト君も圧力鍋もたまたま!だったのですから、できれば事前に見通せていたら、もっとゆっくりできるし、もう少しばかり別のことで楽しめる気もしませんか?

こういう時に使えるのが重畳パススコアマップです。重畳パススコアマップを使えば、下の図のように、経路の線の太さで、どの経路が重要なのか瞬時にわかってしまいます。(赤い経路はクリティカルパスを表わします)

カレー作成の重畳パススコアマップ

例えば、「火を起こす」の手順からの経路であれば、重畳パススコアマップの線が太い経路、

  • 「火を起こす」→「野菜を炒める」(その後に続くのは「水を入れて煮込む」手順!)
  • 「火を起こす」→「ゆで卵をゆでる」
  • 「火を起こす」→「初めチョロチョロ」

といった経路が重要であることがわかります。

クリティカルパスの図と比べてみても、そのわかりやすさと見通しの良さは歴然ですね。

どの手順を改善したらいいかがわかる!

さて、重要な経路も見通せたところで、重畳パススコアマップをもう少し詳細に見ていくことにしましょう。すると、

  • 火を起こす(20分)
  • 初めチョロチョロ(10分)
  • ゆで卵をゆでる(15分)
  • 水を入れて煮込む(30分)
  • カレールウを入れて煮込む(10分)

の手順を表わす図形の形と色が他と異なっていることがわかります。この中でも特に、

  • 火を起こす(20分→10分)
  • 水を入れて煮込む(30分→10分)

を見て何か思い出しませんか?

そうです。クリティカルパス上で改善できそうな手順として、ボーイスカウト君と圧力鍋に助けてもらった部分でしたね。

このように、重畳パススコアマップでは、経路の重要度に応じて、どの手順を改善したらいいか、その改善候補となる手順を自動的に出力することができます。さらに、

  • 初めチョロチョロ(10分)
  • ゆで卵をゆでる(15分)

の2つ、特に「初めチョロチョロ」の手順については、改善後のクリティカルパスの図で、クリティカルパスの経路として、まさに出力された手順です。(ちなみに「初めチョロチョロ」を改善すると今度は「ゆで卵をゆでる」の手順を改善する必要がでてきます)

重畳パススコアマップを使うと、今まで見えていなかった第2、第3のクリティカルパスを考慮して、まさに先の先を読んだ対応が取れるのです。

サボれるのはどの部分?

せっかくキャンプに来たのですから、カレー作りや川下りなど、団体行動だけじゃなくって、余裕があるなら個人的に魚釣りや川遊びも楽しみたいものですよね? そうでなかったとしても、やっぱりトイレや休憩の時間は大切です。

、、、とはいえ、勝手にどこかに行ってしまって、肝心なカレー作りや、川下りにまで影響を及ぼしたら大問題!みんなに迷惑かけないとも限りません。

こういう時は、重畳パススコアマップで灰色点線の経路を見つけます。例えば、

  • 「米をとぐ」→「初めチョロチョロ」
  • 「サラダ用の野菜を切る」→「サラダを盛り付ける」

の経路など。こうした経路は、他の経路と異なり、若干余裕のある経路。トイレや休憩、川遊びはこの間に済ませてしまいましょう♪

くれぐれも遊びすぎて帰ってこなかったなんてことのないように!!

手順を改善した後は?重畳パススコアマップの感度と安定性~

話を、ボーイスカウト君や圧力鍋まで少し戻しましょう。手順の改善を行なった後、クリティカルパスを使う方法では、クリティカルパスの経路自身がすっかり変わってしまい、タスクグラフとしての形以外は全く別のグラフとして出力されました。 それでは、重畳パススコアマップではどうなるのでしょう?クリティカルパスを使った改善の時と同じ条件で、試しにシミュレーションしてみましょう。

カレー作成の最適化後重畳パススコアマップ

まずは、重畳パススコアマップの線の太さに注目してみましょう。重畳パススコアマップにおいて線の太さは重要度を表わしていることを思い出して下さい。 改善前の重畳パススコアマップ改善後の重畳パススコアマップ、2つのマップを比較すると、線の太さは改善の前後で、ほとんど変わりなく、かなり安定した状態であることがわかります。

このことは、改善前のクリティカルパスの図改善後のクリティカルパスの図(あるいは重畳パススコアマップの赤い経路)が大きく異なるのとは対照的な結果となっています。

次に、改善候補として出力された手順を見てみましょう。改善前の重畳パススコアマップ改善後の重畳パススコアマップの両方で出力されている改善候補、

  • 火を起こす
  • 初めチョロチョロ
  • ゆで卵をゆでる

の3つの手順に注目してみます。

この3つの手順のうち、「初めチョロチョロ」と「ゆで卵をゆでる」の手順。確かこの2つの手順は、「火を起こす」や「水を入れて煮込む」の手順の改善、すなわちカレー自体の経路を改善した後に考慮する必要がある手順でした。

考えてみれば、ご飯を炊く経路、ゆで卵をゆでる経路、どの経路にしても失敗すれば文字通り後味の良くないものになるわけですし、それぞれの経路の改善候補は、キャンプでカレーという全体の目的から見れば、カレー自体の経路を改善をする・しないに関わらず、ほとんど変わらないはずです。 重畳パススコアマップはこのように、重要度だけではなく、改善候補に関しても、局所的な改善を行なう・行なわないに限らず極めて安定して手順を出力してくれます。

もういっちょ!

ところで、それぞれの手順の所要時間。火を起こすにしても、何かを切ったり炒めたり煮込んだりするのにしても、アウトドアの達人でありプロの料理人などという方でもない限り、1分1秒を毎回正確に同じ時間で手順をこなすことなどできるはずがありません。 それほど大きな手順の所要時間が大きく変動するわけではないですが、状況や人に応じて毎回毎回、手順をこなす所要時間は変わってくるでしょう。

このように細かな変化に対しても、今までのクリティカルパスを使う方法では、局所的な最適化の時と同様、毎回別々の経路を出力してしまい、その都度、検討とシミュレーションを繰り返す必要がありました。 感度はいいものの1回に1つの経路しか出力できない。このことは、クリティカルパスにとって、大きな欠点となるものでした。

重畳パススコアマップはこうしたクリティカルパスの欠点を大きく改善し、局所的な最適化においても、安定稼働時の所要時間変動においても、感度よく、さらに、極めて安定して重要度や改善候補を出力してくるのです。

ライセンス契約代理店契約について

国際特許出願済みである重畳パススコア重畳パススコアマップなどの、タスクグラフ解析技術は、組み込み機器やソフトウェアへの適用など、幅広い分野への応用が可能です。 これらの技術への御社の事業への適用に際し、ライセンス契約も承っております。 参考資料として、【要約書】(無償)、及び、【明細書】(有償)の送付の準備もございますので、下記より、お問い合わせください。

また、弊社コンサルティング事業やライセンス事業に関する代理店契約の募集も行なっております。こちらも、下記より、お問い合わせ願います。

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