重畳パススコアを使った改善の効果
タスクグラフ たとえ話(キャンプでカレー) クリティカルパス 重畳パススコア 背景と効果 背景 効果 解析協力
指定時間のクリティカルパスによるカバー可能率と
重畳パススコアによるカバー可能率
タスクの「漏れ」を考える場合、まずは指定時間のクリティカルパスでどの程度、変動したそれぞれの時間で計算されたクリティカルパスをカバーできるのか認識している必要があります。
先のタスクグラフを見ながら、変動したそれぞれの時間で計算されたクリティカルパス各100回の内、指定時間のクリティカルパスでカバーが可能だった回数と不可能だった回数、また、重畳パススコアでカバーが可能だった回数を数えていくと、以下の表のようになります。
| タスクグラフ名 | 指定時間のクリティカルパスでカバー可能 | 指定時間のクリティカルパスでカバー不可能 | 重畳パススコアでカバー可能 |
|---|---|---|---|
| curry | 39 | 61 | 100 |
| robot | 15 | 85 | 100 |
| sparse | 44 | 56 | 100 |
注記: 表の数値は変動係数50%・正規乱数による100試行(条件: 上記再現条件)に基づく実測値。100%でも改善候補漏れはゼロとは限らない(原理上のカバー可能率)。
指定時間のクリティカルパスでのカバー可能率に着目すると、curryの場合39%、sparseの場合44%、robotに至っては15%に留まることがわかります。これに対して、重畳パススコアでは、その原理上、カバー可能率は100%ということになります。
もちろん、重畳パススコアを使用すれば過分なく、全て完璧にタスクを特定してしまえるというわけではありません。しかしながら、指定時間のクリティカルパスのみで対象タスクを検討する手法に比べ、不足分としてのタスクの「漏れ」は無くなり、ある日突然不都合を起こす潜在的な危険を持つ場所の発生や、改善を際限なく繰り返すといった事態を防ぐことが可能となります。
クリティカルパスのみの改善率の限界
次に、時間による変動の影響を最も受けてしまったrobotに関して、クリティカルパス、重畳パススコアを使用した時の着手率、改善率を詳細に追っていきましょう。
robotでのクリティカルパスによる改善の効果のグラフより、クリティカルパスは着手率20%程度のところで改善率は頭打ちとなってしまっています。これは『クリティカルパスとは』の説明のところで、「一般的に、クリティカルパス上のタスクは、タスクグラフの全タスクの内、20%程度を占めるといわれている」と触れた通りの結果となっております。
各タスクの所要時間が変動してしまった場合、着手率を100%としても変動させる前と比較すると改善率は50%程度に落ち込んでしまいます。タスクグラフの所要時間を見込み、クリティカルパスの経路を改善したとしても、実際にそのタスクを動かした時に改善できる時間は半分程度になってしまう、という結果となってしまったので、クリティカルパスのみの経路を改善するという方法は、時間の変動をあらかじめ予測できるタスクグラフでは、所要時間を改善する最善の方法ではないと考えられます。
重畳パススコア使用時の改善の性質
クリティカルパスと比較した場合
重畳パススコアによる改善率とクリティカルパスによる改善率のグラフを見てみましょう。クリティカルパスは前にも触れましたが着手率20%程度で改善率50%となり頭打ちとなってしまいます。しかし重畳パススコアは頭打ちとはならず、クリティカルパスのさらに上を目指すことができ、着手率100%では改善率を100%にすることが可能となります。
単純時間順と比較した場合
重畳パススコアによる改善率と単純時間順による改善率のグラフを見てみましょう。ここでは、タスクグラフ全体を見渡し、時間がかかっているタスクを抽出し改善していく、という方法を、単純時間順と定義しています。単純時間順は、クリティカルパスとは違い改善率を100%まで上げることが可能となります。しかし効率は非常に悪く、着手率20%の時点を比較すると重畳パススコアでは30%改善することができるのに対し20%の改善にとどまり、着手率50%では重畳パススコアでは90%の改善に対し60%となり、30%もの差が生じてしまいました。
まとめ
重畳パススコアは、時間の変動に強く、クリティカルパスよりも安定した高い改善率を誇り、単純時間順で追っていった時よりもはるかに効率よくタスクを改善できることがシミュレーションの結果より実証されました。重畳パススコアを使用すると、クリティカルパスではカバーしきれなかった時間やコストが変動した際の、第2、第3のクリティカルパスになる重要度が高いタスクも的確にわかり、そのタスクを検証していくことによって従来よりも手間が少なくスピーディーに業務改善することが可能となります。予算や時間の都合上、着手率を100%まで上げることは現実的ではありませんが、着手率が50%の時点でも90%もの改善効果を見込むことが可能となるので、重畳パススコアは、クリティカルパスに代わる新たなタスクグラフ解析方法として期待することができます。
